この記事ではジェネリック薬の新たな選択肢になりうるオーソライズド ジェネリックについて、簡単にわかりやすく解説をしていきたいと思います。
薬剤師である私個人的にもオーソライズド ジェネリックは選択の余地が十分にあると考えております。その根拠も踏まえてお話していければと思います。
オーソライズド ジェネリックとは?
そもそもオーソライズド ジェネリックって??横文字が長すぎて理解しようとも思えないですよね(;一_一)ウーン…怪しさまで感じてしまいますwww
authorizedとは「認定の」「検定済みの」「権限を授けられた」などの意味を持ちます。
https://ejje.weblio.jp/content/authorized
オーソライズド ジェネリックとはすでにその成分に対して認定を受けている先発品メーカー(対象の成分を一番最初に薬として世に出した製薬会社)が作るジェネリックのことになります。
これでも少し解りづらいですね💧(๑•ૅㅁ•๑)??
要するに、元になる薬を作っている会社が作ったジェネリックがAG(オーソライズド ジェネリック)ってなわけです。
……そこでまた疑問が出てくると思います(・・?) それって、結局普通のジェネリックと何が違うの??
普通のジェネリックと何が違うの?
AGの定義みたいなのはわかったけど、結局AGもジェネリックじゃね??ってなりますよね。
その通りでAGもジェネリックなんです!www
ただし、普通のジェネリックとはいい意味で別物ですので下記の表にて、ご覧頂ければと思います⬇️
AG(オーソライズド ジェネリック) | 通常ジェネリック | |
有効成分 | 同一 | 同一 |
原薬 | 同一 | 異なることがある |
添加物 | 同一 | 異なることがある |
製法 | 同一 | 異なることがある |
製造場所 | 同一※ | 異なることがある |
効能・効果 | 同一 | 同一 |
薬価(値段) | 4~5割ほど | 4~6割ほど |
表のとおり、AG最大のメリットは先発品と各条件が同一にも関わらず薬価(値段)が4~5割程度安くなる事にあります。
逆に、通常のジェネリックは薬価(値段)は安いのですが、先発品と成分・効能効果のみが同一で、それ以外は全くの別物である為、薬に対する信用性はAGと比べてかなり低いといえます。添加物の違いからアレルギーが出てしまう人や、製法が異なるため薬の溶解性(飲んだ後の溶け方)が異なり、効果の速度に違いが出てしまう例も少なくありません。
一方でAGは種類にもよりますが製造工程まで同一であるため、同一工場の同一ラインで作られていることが多いです。名前や錠剤のシートの見た目は違えど、中身は一緒ってことですね(*´▽`*)安心♪
そもそも何で先発品メーカーがジェネリックを作るの?
ここでさらに疑問になるのが、先発品メーカーはすでに先発品を作っているのに何でわざわざ同じ内容でジェネリックを作るの(・・???ってなると思います。
答えは簡単で、その成分におけるシェア(使用する患者さん)の流出を防ぐためです!(^^)!
一般的に創薬(薬を1から作ること)には10~20年の歳月と500億円の資金がかかるといわれています。しかもその中で先発品として世に出ることが出来るのはたったの1/30,000程度。ほとんどの候補品は途中の段階で断念されてしまうケースがほとんどです。
先発品メーカーは上記のような長い年月と費用をかけてやっと作り上げた薬を、いとも簡単にジェネリックによってシェアが奪われてしまうのは何としても避けたいのは当然ですよね( ̄▽ ̄)
基本的に先発品メーカーは一番先に世に出すにあたって、特許を得ることが出来ます。一般的にはこの特許期間は20年間であり、それ以降はジェネリック品が順次発売されていきます。
その為、先発品メーカーは特許期間の切れた薬のAGを作らないとシェアがどんどん奪われていくのをただただ指をくわえて見ているしかなくなってしまいますΣ( ̄□ ̄|||)OMG
それでは創薬に費やした歳月・費用・さらには愛情が報われないですよね💦💦
そこで、先発品メーカーは泣く泣く(今までは先発品の値段で売れていた薬を半額セールで売っているようなものですから泣く泣くですよね(T_T))ですが、先発品を作る工程で丸々ジェネリックを作ることにするんです!こうして出来上がるのがAG(オーソライズド ジェネリック)となるわけですね。
オーソライズド ジェネリックって具体的には何があるの?
下記の表で今現在(2021.11)のAGについて取りまとめてみました。
ご自身で使用中の薬があり、かつ先発品を使用しているということであればこの機会にぜひAGへの変更を検討してみましょう(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!
※ちなみにAG品は↓のような名前の表記となります
成分名+「屋号」
表の一番上のフェキソフェナジン(先発:アレグラ)のAGはフェキソフェナジン「SANIK」となります
成分名 | 先発品名 | 屋号 |
フェキソフェナジン | アレグラ | SANIK |
イルベサルタン・アムロジピン | アイミクス | DSPB |
ピオグリタゾン | アクトス | 武田テバ |
イルベサルタン | アバプロ/イルベタン | DSPB |
デュタステリド | アボルブ | 武田テバ |
アナストロゾール | アリミデックス | DSEP |
エピナスチン点眼 | アレジオン点眼 | SEC |
スマトリプタン | イミグラン | アスペン |
ゲフィチニブ | イレッサ | DSEP |
イミダフェナシン | ウリトス/ステーブラ | 杏林 |
ブリンゾラミド点眼 | エイゾプト点眼 | サンド |
カンデサルタン・ヒドロクロロチアジド | エカード | あすか |
バルサルタン・アムロジピン | エックスフォージ | サンド |
リマプロストアルファデクス | オパルモン | 日医工 |
オルメサルタン | オルメテック | DSEP |
ビカルタミド | カソデックス | DSEP |
ドキサゾシン | カルデナリン | ファイザー |
モンテルカスト | キプレス/シングレア | KM |
レボフロキサシン | クラビット | DSEP |
シタフロキサシン | グレースビット | DSEP |
ロスバスタチン | クレストール | DSEP |
ドルモロール点眼 | コソプト点眼 | SEC |
バルサルタン・ヒドロクロロチアジド | コディオ | サンド |
クロピドグレル・アスピリン | コンプラビン | SANIK |
レボセチリジン | ザイザル | 武田テバ |
アジルサルタン・アムロジピン | ザクラス | 武田テバ |
デフェラシロクス | ジャドニュ | サンド |
エゼチミブ | ゼチーア | DSEP |
セレコキシブ | セレコックス | ファイザー |
ランソプラゾール | タケプロン | 武田テバ |
ベポタスチン | タリオン | タナベ |
エスワン | ティーエスワン | タイホウ |
バルサルタン | ディオバン | サンド |
ジエノゲスト | ディナゲスト | モチダ |
プソイドエフェドリン・フェキソフェナジン | ディレグラ | SANIK |
モメタゾン点鼻 | ナゾネックス点鼻 | 杏林 |
アムロジピン | ノルバスク | ファイザー |
タモキシフェン | ノルバデックス | DSEP |
パロキセチン | パキシル | アスペン |
バラシクロビル | バルトレックス | アスペン |
クロピドグレル | プラビックス | SANIK |
カンデサルタン | ブロプレス | あすか |
ボグリボース | ベイスン | 武田テバ |
ソリフェナシン | ベシケア | 日医工 |
テルミサルタン・アムロジピン | ミカムロ | DSEP |
テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド | ミコンビ | DSEP |
レバミピド | ムコスタ | オーツカ |
セフジトレンピボキシル | メイアクト | OK |
メトホルミン | メトグルコ | DSPB |
メマンチン | メマリー | DSEP |
カンデサルタン・アムロジピン | ユニシア | あすか |
ホリナート | ユーゼル/ロイコボリン | タイホウ |
シロドシン | ユリーフ | DSEP |
ピタバスタチン | リバロ | KOG |
プレガバリン | リリカ | ファイザー |
ノルエチステロン・エチニルエストラジオール | ルナベル | あすか |
エレトリプタン | レルパックス | ファイザー |
ブロナンセリン | ロナセン | DSPB |
以上、AG(オーソライズド ジェネリック)について簡単にですが、解説させていただきました。
先発品と全く同一と言っても過言ではないAGは薬の負担金を軽減しつつ、信頼性はそのままに維持できる最高のジェネリックと私は考えます。
今後も特許の切れる薬は増えてくるため、AGを目にする機会は当然増えてくると思います。自分の使っている薬や、新規で追加になった薬にAGがないか確認してみるのもいいかもしれませんね。
(@^^)/~~~
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